住宅に求められる付加価値の中で、特に外観のデザインにはこだわりました。「美しくなければ住宅じゃない」という考えの下、欧米の住宅が持つ流行に左右されない普遍的な美しさに学びながら、7つのベーシックなデザインを抽出。さらに現代的なアレンジを加え、日本の景観にも自然に溶け込むスタイリッシュな外観と、日本人のライフスタイルにマッチした間取りを実現しています。
17世紀初頭、ヨーロッパからたどり着いたアメリカ初期の開拓者たちは、自分たちの生まれた故郷で流行していた建築様式を広大な地に持ち込みました。しかし、自らの手で住まいを建てなければならなかった時代、多くは単純な形態をとることになりました。やがてその形態も彼らが定住するにつれて変化を見せ、窓周り、玄関ポーチ、屋根の軒裏まわりなどに装飾性のあるデザインを取り込むようになっていきました。「アーリーアメリカン」とは、そうしたアメリカ初期の開拓者たちが建てたさまざまな住宅様式の総称です。連続するポーチコラムに支えられた玄関ポーチが印象的な佇まい。シンプルなフォルムの中にも確かな存在感が溢れているのは、そこに彼らのフロンティア精神がしっかりと息づいているからなのかも知れません。
まぶしく輝く紺碧の海、コートダジュールの海辺から山岳地帯に広がるプロヴァンス地方。この地方はミストラルという強風が吹き荒れ、ねじれた松の木などセザンヌ絵画に見られるような風景画点在しています。この地方に住む人々の生活の知恵から生まれた建築は、600年の時を経ても今も変わらず、その伝統的な工法が守られています。赤い瓦、草色やピンクの外壁がリゾート的な雰囲気を演出し、バルコニーや妻飾りにロートアイアンを使うのも大きな特徴です。そしてミストラルを防ぐためにどの窓にも木製の雨戸が取り付けられています。また、イスラム建築の影響を受けた影響を受けたアーチ状の意匠も特徴で、窓周りや玄関ポーチに多く見られます。
総レンガ貼りの箱型の建物に、玄関を中央に据え、左右シンメトリーに上げ下げ窓を配した外観デザイン。その威風堂々とした佇まいが、ジョージアン様式の典型です。ルーツは17世紀のイギリスです。豊富に生産されたレンガを多用し、ルネッサンス様式の流れを汲んだ家が多く建てられました。それが移民によってアメリカに普及され、裕福な有産階級のステイタスシンボルとして愛されました。その特徴は、中央に主張性を持つパビリオン(玄関ポーチ)を配し、優雅な気品溢れる左右シンメトリー(対称)のファサードです。また、軒裏に施された装飾、壁付けの柱やぺディメントによって引き立てられた玄関ドアなどで重厚感のある外観を強調します。
20世紀初頭、海外のさまざまな建築様式がアメリカで普及する一方、アメリカ中西部、シカゴ郊外の創造的な建築家たちは独自の思想から新しい様式をつくりあげていきました。有機的建築哲学を唱えたフランク・ロイド・ライト。自然との融合を試みた彼に代表されるその様式は、自然と美しく調和するデザインを多彩に織り込んでいます。それが’草原’を意味するアメリカオリジナルの建築様式「プレーリー」です。深い軒の出のなだらかな屋根、下屋部分を見せるプランニング、まっすぐに伸びた付梁装飾。大草原の美しい風景に溶け込む水平ラインを強調したその佇まいは、風格と気品に溢れた様式として、今日も多くの人々に評価されています。
厳しい自然環境のなかにあって豊富な森林資源を誇る北欧。この地域で生まれた伝統的な建築様式に共通するのは、恵まれた木の素材を生かし、風雪と寒さの中で快適に暮らすための知恵と工夫を盛り込んだデザインということです。中でも深い森の国スウェーデンでは自然との共生を旨とし、木の質感をそのまま残した素朴でシンプルな佇まいが目立ちます。「スカンジナビアン」とは、そのようなスウェーデンの様式を中心とした伝統様式を基本としています。あたたかい色調の板張り外壁、陽光をいっぱいに取り込むための大きな窓。そのデザインの一つ一つは、スウェーデン地方の人々の、何代にもわたって木の家に親しんできた歴史や、家に対する想いが美しく映し出されています。
ルーツは古く、16世紀イギリスのチューダー王朝時代の建築様式で、アメリカでは1890年以降普及した建築様式です。この様式の特徴は、主にその外観デザインに表されています。まず、急勾配の切妻屋根には、中世ヨーロッパで天に向け、より高い空間を生み出そうとした教会建築の影響が見て取れます。また、雨の多いイギリスでは水はけを良くする目的もあり、この点でも日本の風土に合っていると言えます。もう一つの特徴としてはハーフティンバーがあげられます。白塗り壁に暗色のハーフティンバーは、そのコントラストの美しさから’ブラック&ホワイト’とも呼ばれています。
1920年代頃のドイツ・バウハウス等から始まる近代建築運動による様式であり、従来の組積構造に代わり、鉄、コンクリート、ガラスという建築材料と技術の出現によって支えられたデザイン様式です。それまでの石やレンガ積みの外壁に小さく開けられた窓やアーチ型の構造形式から解き放たれた自由な平面、立面が特徴と言えます。この様式の代表的人物としてル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエがあげられますがコルビュジエについてはその後、世界の多くの建築家に多大な影響を与え、一方ミースのデザインは現代の高層建築の源流となっています。